令和7年度の技術士試験は、どのような内容になるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
試験制度はこれまでにも何度も改正されており、そのたびに受験者に求められるスキルや対策も変化しています。特に近年は、筆記試験の難易度が上昇しており、暗記だけでは太刀打ちできない高度な応用力が問われています。
本記事では、令和7年度の試験内容をはじめ、技術士制度の歴史や最新の改正動向についてわかりやすく解説します。
令和7年度 技術士試験の内容
今までの技術士試験の経緯を見ると、6年周期で必須試験が論文⇒択一⇒論文と入れ替わっています。令和7年度は今までの流れから入れ替わりの年であり、択一の可能性がいわれていました。来年の必須試験は択一か、論文か気になっている方は多いと思います。
令和6年11月3日開催された「技術士第二次試験実施大綱」では、試験内容について以下のように記しています。
「総合技術監理部門を除く技術部門の必須科目及び選択科目は、いずれも記述式により行う。」
つまり、令和7年度の試験も筆記試験になります。
筆記試験は、令和元年度から段々難易度が上がっています。今年の試験も少しひねられた問題が出そうなので、暗記は通用しなさそうですね。
技術士制度の概要とこれまでの改正の歩み
技術士制度は1957年に制定され、その後数度の改正を経て現在の形に至っています。特に2000年の改正では、次のような重要な変更が行われました:
- 一次試験・二次試験の制度導入により、明確な資格取得プロセスを確立。
- 若手人材の参入を促進するため、学歴制限を撤廃し、多様な実務経験を評価。
- 国際的な整合性を確保するため、JABEE認定課程を修了した場合の一次試験免除を導入。
また、技術士補制度が創設され、一次試験合格者が技術士補として登録できるようになりました。これにより、若手技術者が早期に技術士資格への道筋を立てやすくなっています。
最近の技術士制度改正の方向性
現在、技術士制度では以下の点が重要な課題とされています:
初期専門能力開発(IPD)の整備
IPDは若手技術者が早期に必要なスキルを習得するための仕組みです。産業界や教育機関が連携し、修習ガイドラインの策定やメンター制度の導入が進められています。これにより、効率的なスキルアップが期待されます。
継続研鑽(CPD)の充実
技術士資格取得後も継続的な学習を求める仕組みが整備されています。CPD活動は、最新技術や知識を習得するだけでなく、総合技術監理部門(総監)へのキャリアアップのステップとしても活用されています。
試験の適正化と更新制度の導入
一次試験・二次試験の内容を大括り化し、受験者の負担軽減を図る取り組みが進行中です。また、試験後の更新制を導入し、資格の質を高める動きも見られます。
技術士試験受験者の現状と年齢分布の課題
近年のデータによると、技術士二次試験の受験者および合格者の平均年齢は40代半ばとなっており、受験者層の高齢化が進んでいます。これに対応するため、以下の取り組みが必要です:
- 若手技術者への支援を強化し、IPDや技術士補制度を活用した早期資格取得を促進。
- 試験内容を国際基準に合わせ、国内外で活躍できる技術士の育成を目指す。
技術士資格の活用促進と普及拡大
文部科学省や日本技術士会は、資格の社会的地位向上を目指し、以下の取り組みを推進しています:
- 技術士資格の具体的な活用事例の紹介。
- 他省庁や産業界との連携を通じた資格の普及活動。
- APECエンジニア資格など、国際的に認められる資格としての整備。
これにより、技術士が国内外で幅広く活躍できる環境が整えられています。
まとめ
令和7年度の技術士試験では、引き続き筆記試験が実施されることが決定しました。筆記試験は年々難易度が上昇しており、単なる暗記ではなく、応用力や記述力が求められる傾向にあります。
技術士制度は1957年に始まり、2000年の大改正を経て、若手技術者の参入を促進しつつ、国際基準に対応した制度へと進化しました。一方で、高齢化する受験者層への対応が課題となっており、初期専門能力開発(IPD)や継続研鑽(CPD)の仕組みを強化する取り組みが進行中です。
さらに、資格の普及促進や国際的な認知度向上も進められており、技術士が国内外で幅広く活躍できる環境が整えられつつあります。この記事が、同じように技術士試験合格を目指す方々にとって、制度の理解や試験対策のヒントとなれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
出典:技術士分科会 試験部会(第42回)配布資料(文部科学省)
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