技術士を目指して勉強を始めると、 「修習技術者のための修習ガイドブック」という資料の存在を知る人も多いと思います。
ただ、
- 若手向けの資料でしょ?
- 試験対策とは関係なさそう
- 忙しいし、後回しでいいかな
と感じて、そのまま読まずにいる方も少なくありません。
しかし実はこの修習ガイドブック、技術士試験を受ける人にとって非常に重要な「公式資料」です。
この記事では、
- 修習ガイドブックとは何か
- 技術士試験にどう活用できるのか
- 論文対策にどう落とし込めばよいのか
を、実践的な視点で整理していきます。
修習ガイドブックって何?
修習ガイドブックは、日本技術士会が示している 「修習技術者(技術士になる前段階の技術者)」のための指針です。インターネットから無料で手に入ります。
内容は、単なる実務マニュアルではありません。
- 技術士とはどのようなプロフェッションなのか
- 社会に対してどんな責任を負うのか
- どんな考え方・判断基準を持つべきか
といった、技術士としての在り方そのものが整理されています。
重要なのは、このガイドブックが 「個人の解説本」や「受験対策本」ではなく、 日本技術士会が公式に示している考え方の整理資料だという点です。
つまり、
技術士試験で評価される人物像・思考の方向性は、 このガイドブックに集約されている
ということなのです。
技術士試験にどう活用する?
改訂版コンピテンシーの考え方が整理されている
令和8年度の技術士試験では、改訂版コンピテンシーを適用した試験が実施されることになっています。
ここを理解しておかないと、 令和8年度以降の技術士試験では「評価されない論文を書いてしまう」可能性があります。
修習ガイドブックは、令和7年6月に「第3.1版」が刊行されました。
つまり、最新の修習ガイドブックは、コンピテンシー改訂に対応したものとなっています。
修習ガイドブックには、技術士倫理綱領の解説、課題設定やコンピテンシーの考え方など、技術士試験に活用できる思考の枠組みが示されています。

問題解決のステップ(修習技術者のための修習ガイドブック 第3.1版 p.20)
このガイドブックは、技術士筆記試験の書き方や文章力等のテクニック論ではなく、
「どういう思考が技術士としてふさわしいか」
を教えてくれる資料です。
なお、改訂コンピテンシーの全体像や試験への影響については、以下の記事で詳しく解説しています。
あわせて読んでみてください。
【令和8年度試験対応】技術士コンピテンシー改訂の全解説|新旧比較と試験対策ポイントまとめ
修習ガイドブックを論文へ活用する方法(改訂コンピテンシー対応)
ここからは、修習ガイドブックをどう論文に使うのか、改訂コンピテンシー内容を踏まえ、具体的に見ていきます。
修習ガイドブックから見た改訂コンピテンシー
改訂コンピテンシーでは、問題解決に以下のように定義されています。
まずは原文をそのまま見てみましょう。
「複合的な問題に関して,多角的な視点を考慮し,ステークホルダーの意見を取り入れながら,相反する要求事項(必要性,機能性,技術的実現性,安全性,経済性等),それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮した上で,複数の選択肢を提起し,これらを踏まえた解決策を合理的に提案し,又は改善すること。」
正直、この文章だけだと分かりにくいですよね。
修習ガイドブックp.22では、問題解決に対し、以下のような方法で考えると良いとあります。
「解決策の提案は、重要なことは制約を設けず、ステークホルダーを巻き込み多面的・多角的な視点でアイデアを出すことである。」
つまり、まずはコストや安全性をいったん脇に置き、さまざまな立場の人の意見を幅広く取り入れた上で、公益、文化、倫理、経済、社会、コストといった多様な視点から検討し、関係者が納得しやすい解決策を提案するということです。
解決策の書き方への落とし込み例
1つ、修習ガイドブックを活用した解決策の例文を作ってみました。
課題:老朽化インフラの維持管理強化
解決策:予防保全への転換強化
内容:増加する老朽化インフラに対し、予防保全への転換を強化し、安全性を確保する。しかし、老朽化インフラは膨大にあるため、道路管理者や地元住民の要望(路線重要度、孤立集落、インフラの損傷度等)を取り入れ、優先順位を設定する。なお、すべてのインフラを予防保全へ転換するのは、コストと労力を多大に要するため、緊急度の低いインフラは事後保全のまま進め、メリハリのある維持管理を行う。
論文内容に正解はありませんが、評価基準は存在すると考えています。
コンピテンシーを意識すると書くべき内容も変わり、A評価されやすい論文へ近づきます。
改訂コンピテンシーにより、今までよりも、より高い業務遂行能力が求められるようになりました。
令和8年度技術士試験対策のヒントが、修習ガイドブック第3.1版に隠れているんです。
まとめ|修習ガイドブックは論文の「軸」になる
修習ガイドブックは、
- 若手向けの資料
- 試験とは直接関係ない資料
ではありません。
- 技術士とは何者か
- どんな考え方が評価されるのか
- どこを見られて合否が決まるのか
その裏側を示してくれる公式資料です。
特に、これから論文を書き始める方、
「何を書けばA評価になるのか分からない」と感じている方には、
一度この修習ガイドブックを軸に検討してみてください。
答案の軸が定まり、「技術士にふさわしい論文」に確実に近づくことができます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考出典

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